真似て本物になる!~モデリング~

NLPは1970年代中頃、当時、言語学助教授であったジョン・グリンダーと、心理学を研究し数学者でもある、リチャード・バンドラーによって研究され開発されました。

時代は、ベトナム戦争終結の頃、帰還兵のトラウマ治療として、セラピー・カウンセリングなどのニーズが高まる中です。
2人は、この社会現象ともなるトラウマの治療に、群を抜いて治療効果があった、
プリッツ・パールズ(ゲシュタルト療法)
バージニア・サティア(家族療法)
ミルトン・エリクソン(催眠療法)
この3人の天才セラピストに注目しました。

この3人がどの様に、どんな方法で、何をしてクライアントに治療をしているのか?気の遠くなるほどの観察を重ね、分析をし、研究をした結果によって「共通パターン」を見出し体系化したものがNLPの原型です。
それは、3人が使う言葉の使い方、行動パターン、無意識と潜在意識の動きを考察して得たものでした。
「共通パターン」は、人間の五感(神経機能)、そして言語の重要な働きを、心理学界の画期的な発見でした。
心理学の分野では、あまり人間の感覚器の特徴や言語パターン(プログラム)をカウンセリングに結び付けて治療をすることがポピュラーではなかったので、
これらを研究し、誰にでもわかるように体系化し、人間を司る脳のメカニズムをシステムやプログラムという表現で説き明かして、世界の多くの人々に広めた、大きな功績といえるでしょう。

私は『守・破・離』という言葉を大切にしています。
600年前に能の世阿弥が「風姿花伝」(「花伝書」)の中で展開した芸能論の一部だそうです。武道や芸能などの世界ではたいへん良く使われる言葉です。

人が成長する上で、修行の段階をあらわす、重要なステップの教えを示しています。
『功者になりたければ成功者の真似をしなさい』
習い事などをしていると、よく聞く言葉ではありませんか?

「守」
まずは、最初の段階では、師匠(指導者)の話をよく聞き、言われた通りに行動をして見習い、その価値観さえも聞き入れる。
言うなれば、型を「守る」ところから修行が始まる。
「破」
その後、その型を自分と照らし合わせて研究することにより、自分に合った、より良いと思われる型をつくることをしてみる。
独自で工夫ながら既存の型を「破る」。
「離」
最終的に、師匠の型から、自分自身が造り出した型へと発展させる。
自分自身と技については、よく理解をしているため、型から「自由」になり、型から離れ、自由自在になることができる。自分のスタイルが確立すること。
簡単にいうと、まずひたすら「真似」をして、自分のオリジナルを混ぜてみて、最後に新しいものを創造することです。

この「守破離」という修行の教えは、日本では馴染みのあるものですね。
今もなお、「道」とつくスポーツや、「芸」のつく伝統的な文化にも受け継がれています。
つまり、「真似」をするということが大事だということです。
ぜひ皆さまも、まずは、尊敬する人の真似から始めてみませんか?

NLPはリチャード・バンドラーとジョン・グリンダーが3人のセラピストの手法を真似ることからスタートしました。
私はバンドラー博士、グリンダー博士の両者から天才セラピストのモデリングの状況を聞いたことがありますが、昼夜連続、缶詰状態で、ほぼ毎日をセラピストの観察で過ごしていたそうです。
卓越した3名の上手くいくパターンを真似ることで抽出したものが、NLPの原型です。
つまり「型」です。そこから、様々な検証がなされ、コード化され、今日の実践NLPになっています。
NLPの起源は「真似る」行為がなければ、今のような優れた効果のあるものは存在しなかったかもしれません。

NLPの始まりは、この「モデリング」によって生まれたのです。

皆さんの回りには、憧れの人、尊敬できる人、天才と呼ばれる方いませんか?
いつも成功をしている方、とても素敵だなと感じる方・・・
あのようになりたい・・・と思う方・・・
もし自分に〝なりたい“という人がいたら、ぜひ、ひたすら‟モデリング(真似)”をしてみて下さい。

ほら、昔、戦隊もののヒーローに憧れて、ベルトを締めたりスカーフを巻いたりしませんでした?
そうしていると、なんとなく強くなった気がして喧嘩に勝てたとか・・・。
私が大好きなテニスプレーヤーの松岡修造さんは、漫画「エースをねらえ!」の岡ひろみをモデリングしていたそうです。
ウィンブルドンベスト4をかけた試合では、ヒロインの「この一球は絶対無二の一球なり」の言葉を胸に試合に挑まれていたそうです。

コツは、良く観察をして、その人物がどのような思考をもって、どのように行動をして、どのような身振り手振りで、どのような言葉や表情をしているか・・・無意識レベルですっかりなりきることがポイントです。

次第にその人物の様に段々と近づきはじめ、あなたらしさがプラスされて新しい自分になれるかもしれません。

(すだっち)

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